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【英語/映画/旅行が好きな方向け】ロサンゼルス駐在生活体験記 033 ジェイ先生の後日談①              

⭐ちょっと一服、その3  ジェイ先生の後日談 ①

ロサンゼルスに赴任してすぐに行った車の路上教習の件をこの体験記004から006で書かせていただきましたが、このブログの読者の方から「あの教官ジェイ先生は、もう出てこないの? あのキャラ、結構気にいってるんだよね。」というコメントを頂きました。そこでと言っては何ですが彼にまつわる後日談を以下に書かせて頂きます。しばしお付き合いくださいませ。(※ジェイ先生のお名前は仮名です)

 【車の路上教習のジェイ先生とは何者ぞ?と思われている方は是非、この体験記の004から006までを先にご一読頂くと分かりやすいかもしれません!】

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Mihai PanaitによるPixabayからの画像

ロサンゼルスの駐在生活をしているとよく聞こえてくる話で、旦那さんと一緒に日本からやってきている駐在員の奥さんが文化や生活習慣の違う国での生活に馴染めずにだんだんとノイローゼ状態になってしまい、旦那さんを一人残して日本に突然帰ってしまう事があるというのです。

赴任後、一か月ちょっとして「暴動」に巻き込まれてしまった経験から私としては、自分が仕事をしている間、彼女には出来る限り家の中にいてもらいたいと思っていました。その方が安全だし何よりも安心出来たので。それに彼女も私同様「筋金入りのペーパードライバー」だったので、簡単には車で移動することなどは無理な状況でした。

車社会のロサンゼルスでは、2020年の今では地下鉄に乗ればいいのかもしれませんが、当時はまだ地下鉄が整備されていない状況でしたから、運転が出来ないとどこにも行けずにじっと部屋の中にいるか友人に迎えに来てもらうかしないと出かけられない訳です。さすがに数ケ月が過ぎた頃、当然と言えば当然なのですが「このままだとノイローゼになってしまいそう。だから私も車の運転が出来るようになりたい。」と言い出しました。

「ノイローゼになって日本に帰られでもしたら、そいつは困る」と思い、彼女にも車の教習を受けてもらうことにしました。私自身の経験から教官選びはとても大切なことは重々分かっていたので、彼女には「日系の女性の先生で限りなく優しい人」に教えてもらいたいと考えました。

そして、その翌日、何人もの教官が所属している馴染みの自動車学校のオフィスに電話をかけて「以前、こちらのスクールの先生にお世話になった高岡と言いますが、今度は私の家内の方の教習をお願いしたいと思い、ご連絡いたしました。女性には女性の教官の方がいいかと思っており、是非とも日系人の優しい女性の先生をお願いしたいのですが・・・」と要望を伝えてみたところ、以前所属していた年配の優しい女性教官の方はつい最近、年齢的に退社してしまったとの事。他にいる女性の先生達はすでに予約がいっぱいで、少し待ってもらえるのであれば女性教官のうち一人が空いてくるとのこと。

「男性教官でよろしければ、ミスタータカオカのご主人様を担当させて頂きましたジェイであれば、今日、前の生徒さんの授業がすべて終了する予定ですので、タイミング的には丁度良いのですが、あいにく他の男性教官も他の生徒さんの予約が全部入っている状況なのですが、いかがいたしますか?」とのこと。

心の中で「うわっ、マジかい、なんてことだ!」と気持ちがどんよりとしてしまいました。

とりあえず、その日はその電話を切って、家内と相談することにしました。すると案の定、その晩「あたしは、一日も早く車を運転出来るようになって、自分のペースで英語を習いにいったり、スーパーマーケットに行けるようになりたいの!!だから、兎に角、早く教習を受けたいの!!もうあのジェイ先生でいいから、早く予約を入れて頂戴!!」 人の心配も何のその、兎に角、明日には予約の電話を入れろの一点張り。「ジェイ先生がどういう先生か、君も知ってるよねぇ?あの厳しさは尋常ではないよ。俺が教習を受けていた時、連日俺が文句をばっかり言っていたのをあなたも覚えているでしょ。あなた、耐えられるの???」

「あなたが出来て、どうして私が出来ないのよ?待っているよりも始めてしまえばいいのよ、いいの! だから『ジェイ先生』でいいので!!進めて!!」

他の自動車スクールを探せば、他にいくらでもあるのでしょうが、すぐに授業を受けたいとの家内の勢いに押し切らて、その翌日、私は重い気持ちで自動車スクールのオフィスに連絡を入れて「ジェイ先生の授業を受けたいので、パークラブレアまで迎えに来てほしい」と家の住所を伝えて、最初の授業を待つことにしました。

翌日(金曜日の午前中)には家内の授業が始まるというので私も挨拶をしておこうと思い、出社を少しだけ遅らせて、数ケ月ぶりに彼に会うことにしました。我々が暮すパーク・ラブレアのセキュリティの前に車を停めるスペースがあったので、そこで待ち合わせをしました。

ここでジェイ先生のその人柄に関しておさらいをしておきます。彼は身長155センチくらいの韓国人男性で、日本語が出来るので我々にはありがたい存在。顔はビートたけしさん似で、体は意外とスレンダー。話し方は劇団ひとりさんがやる中国人のキャラのようなしゃべり方。兎に角、ポーカーフェイスでなかなか笑わない。時間は正確。指示がルールに沿っており正確で適格である為、二の句が継げない。だが言葉がストレートで強過ぎるので、こちらの胸にぐさぐさと突き刺さってくる。歯向かえない。授業になると優しさのかけらもない。授業が進むにつれ、こちらの心がづきづきと痛くなり始めて授業を受けたくなくなる。登校拒否を起こす生徒の気持ちが分かるようになる。

家内に言わせると「いつも目が血走っていて恐い!」とのこと。

 時間になるとパーク・ラブレアの前まで教習車でやってきて、我々の前まで挨拶にきてくれたました。

私の方に歩んできたジェイ先生は、握手をする為に右手を差し出してくれました。そして開口一番「はじめまして。今日からミセスタカオカの授業を担当しますジェイといいます。」と言ってきました。

「ジェイ先生、はじめましてじゃないですよ、私ですよ、高岡ですよ。」というと「おう」と驚いた様子で「おう、ミスタータカオカじゃないですか?ミセスタカオカはミスタータカオカの奥さんでしたか?OK・OK」。

普通だとニコニコしながら挨拶したりするところなのでしょうが、さすがはジェイ先生、相変わらずのポーカーフェイスぶりで、ニコリともせずタンタンと事を進めていきます。そして、必要事項の説明をしてくれて家内を車に乗せてくれました。そして、いよいよ最初の授業がスタートです。二人を乗せた教習車はぎこちなく一般の車道へと消えていきました。

こうして「家内にとっての地獄の教習生活」がスタートしてしまったのです。

 初日の教習を終えて戻って来た家内は、とてもゲッソリしていて、家に帰ってからも「何なのあの人!」「何様のつもりよ!」と一人でぼそぼそと文句をたらたらと言いはじめました。でも自分で「ジェイ先生」でよいと言った手前、私に直接文句をいうようなことはありませんでした。その日は気持ち的に疲れたらしく、ぐっすりと眠ってしまいました。 二日目、三日目と連日、授業は続いていき・・・。

つづく