☆知らないということは「何と勿体ないことか!」というお話しです☆
私がロサンゼルスに駐在をしていた90年代の前半は日本および日本企業の力は強かったというお話しを以前しました。それゆえに日本企業のアメリカ進出は勢いがあり、様々な日本企業がアメリカのニューヨークやロサンゼルスに支社を出していました。ただ日本から来ていたのは企業戦士ばかりではなく医療関係の方々、つまり医師・先生あるいはその道の研究者たちもロサンゼルスに研修や留学の為に長期滞在していました。
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ロサンゼルスと言えばハリウッドがあり、セレブという方々が数多く暮らしているので彼らも病気になることもあれば、出産することだってあります。ビバリーセンター にほど近いところに「Cedars-Sinai Medical Center」という病院があります。まさに名医の集まるセレブ御用達の病院です。確かにロス、特にビバリーセンター近くを車で走っていると大きな建物の横に掲げられたこの病院の名前をよ~く目にするのですがいつも「一体なんて読むんだ?」と思っていました。読み方は「シダース・サイナイ・メディカル・センター」と読むのだそうです。全米指よりの優良医療機関であることは90年代も、2022年の今も変わらないはずです。
駐在の業務の引継ぎ期間中に、先輩に「病気になったら、ビバリーセンターの近くのあの病院に行けばいいですかね~?」と尋ねたところいつも穏やかな先輩が「何を言っているの。ダメダメ、我々のようなセレブでもない人間の行くところじゃない。」とたしなめられました。アメリカは医療保険自体がかなり高く、もし保険に入っていないで病院で診療を受けるとかなり高額の医療費を払うことになってしまうのだそうです。
アメリカ滞在中に一度、物凄く喉が腫れてしまい、どうしても病院に行かなければならない時がありました。その時はリトル東京方面の日系人の先生がいる病院で診てもらい治してもらいました。確か初めて日頃かけていた生命・医療保険を使用したと記憶しています。
さてさて、ロサンゼルスに来て貴重な体験だなぁと思ったことに「日本人同士」という意識から来る安心感を知ったことでしょうか?パーク・ラブレアでの暮らしにもかなり慣れてきた頃、ラブレア内にお住まいのある日系人のご婦人から私たちが暮す高層アパートの隣の棟にいる若いご夫婦をご紹介頂きました。こちらのご主人はお医者さんで例のシダース・サイナイ・メディカルセンターに長期の研修に来ているとのことでした。日本にいたらおそらく知り合いにはなっていないでしょうから何んというご縁なのでしょうか。彼らご夫婦とは、その後お互いの家での食事に招いたり招かれたりするくらい仲良くなりました。
ある晩、夕食をご一緒させてもらった時に、ご主人が自分の同僚と中華のレストランに行った時のことを話してくれました。
彼らが通されたテーブルの隣のテーブルには、なんとあのダスティン・ホフマン(1937年生まれ)が友人のご夫婦と楽しそうに食事をしていたのだそうです。
2020年現在、年齢50歳以上の方には説明は不要だとは思いますが、若い方々の為に少しばかり彼、ダスティン・ホフマンという俳優についてお話しをしておきましょう。
彼は2022年現在も現役の俳優さんです。彼を一躍スターダムに押し上げたのは1967年度作品「卒業」という作品で、ラストで彼の取った行動が「羨ましい」とか「あり得ない」だとか「やっぱりあれは映画だから出来るんだよ。」と当時の若者からサラリーマンまでが夜の飲み屋で恰好の酒のサカナになっていましたね!
その後、彼は今日まで様々な映画に出演していますが、
メリル・ストリープと共演した「クレイマー、クレイマー」(79年)トム・クルーズと共演した「レインマン」(88年)で2度アカデミー賞主演男優賞を獲得しています。最近だと2015年にジョン・ファブローが監督・主演したハートフルコメディ「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」で主人公のシェフを首にするレストランのオーナー役を務めていました。つまり名優な訳です。
さてさて、私の友人の話しなのですが。
私の友人は特に映画ファンという訳ではなかったのですが、さすがにダスティン・ホフマンは知っていたらしく、食事が始まって少し時間が経ち双方のテーブルがいい具合の雰囲気となり、お酒の力も借りてか私の友人はダスティン・ホフマンに話しかけたのだそうです。「あなたの映画見てますよ『クレイマー、クレイマー』。あの映画は良かったですよね~。」しばし(ある程度)、話は盛り上がったのだそうです。やはり天下の大スターと会話が出来たその喜びは相当なものだったらしく、その話しを私たちに話してくれている彼の声はいつもよりワンオクターブ声が上ずっていました。聞いている私たち夫婦は大の映画ファンなので、ダスティン・ホフマンと隣で食事が出来たなんて
なんとラッキーなことだろう「羨ましいなぁ」と思っていました。でも、しかしです、
次に彼が言った言葉を聞いた時、少しばかりエンタメ業界に足を置いている私としてはとてもショックで口あんぐりで何だか聞いただけでも、いたたまれない感情に襲われてしまいました。
「あのね~、彼と一緒に来ていたご夫婦も役者やってるって言ってたよぉ。ご主人がウォーレン・ビューティとか、奥さんがアネット何んとかとか言ってた。俺は知らない役者さん達だったけど、奥さんはスンゴく綺麗だったよ。」
それは、あなた、知らないこととは言え、そのお二人に対してと「かなり失礼なこと」をばナサってしまったのでは??彼と同席した中に一人位「彼らご夫婦」のことを知る日本人がいてもよかったのになぁ~~。
彼の話しを聞けば聞くほど、一緒に来ていたご夫婦のご主人とは「俺たちに明日はない」( 1967 ),「レッズ」(1981)といった名作を世に送りだした往年のハリウッド・スター、ウォーレン・ベイティ、その人ご本人であり、奥様は映画「バグジー」で彼と共演していた美人女優のアネット・ベニングのことではありませんか。(もう、アネット・ベニングは、マーリー・マトリンと同じ位、私が好きな女優さんなのだから、なのに~~~、もう。)
私は友人にその二人も物凄い人たちで、ハリウッドの大スターカップルなのだよと伝えました。以前、ジャック・ニコルソンさんの家が丘の上だとお伝えしましたが、このご夫婦のお屋敷もジャック・ニコルソンさんのお屋敷同様、丘の上にどんと建っていて、それはそれは見事な豪邸でした。
彼が結婚するまでどれだけプレイボーイだったことか、それに彼はあの名女優シャーリー・マクレーンの実のお弟さんであることなど、私が知っていることを全部友人のご夫婦に伝えたところ、さっきまでの上機嫌さもどこへやら、気落ちしてしまい、
「えー、あの二人もそんな大スターだったの?!! そんなこと知らなかったからダスティン・ホフマンだけスター扱いしちゃったよぉー。えー、どうしようって、もうどうにもなんないけど・・・。」
人間知らないよりも知っていた方がいいことってあるんですねぇ!!逆に私は世界的な名医のことは知らないので、この一件があってから、普段自分の生活に関係のない方でもさまざま方々に興味を持ち、記事などにも目を通すようになりました!
時を戻せるのであれば、私も同席させてもらい、絶対その場を盛り上げて、アネット・ベニングさんにツーショットを撮らせてほしいとお願いするのになぁ~ って、おいおい、お前さんも「ご主人・ウォーレン・ベイティさん」をないがしろにしてるやん?!