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変な夢とLAノースリッジ地震(つづき)【再掲出29】

●変な夢とノースリッジの地震 (つづき)●

※以下のブログは前回からの続きになります。

 1994年1月17日、午前4時31分。夜明け前のしんと静まっている日の出前のまだ暗いロサンゼルスの町にマグニチュード6.6の地震がありました。

今蹴り飛ばした奴が立ち上がって再び襲いかかってくるのではないかと気が気でならず「しっかりしろ、起きろ、強盗だ。バットを。そこのバッドを俺に渡せ。こいつだよ。」と言って私は床でもがいている筈の男の方を指さしました。するとそこにはさっきまで私を苦しめていた男などはおらず、その代わりに窓ガラスが大きな音でガタンガタンと音を立てて、部屋がグラングランと大きく揺らいでいるではありませんか・・。

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そうです、血迷っていたのは私の方でした。それはまさにシンと静まりかえっていた日の出前のロサンゼルス全体を揺らしたマグニチュード6.6の地震だったのです。自分を襲っているのは強盗ではなく地震だということに気づいた時には、夫婦して大きな揺れの中にいました。ビル全体をゴォ~という軋む音に包まれ、部屋全体がかなり激しく上下左右にと揺れていました。私も家内も立っているのがやっとでまったくもって歩けるような状態ではありませんでした。我々は13階建ての8階の角部屋で寝ていたのですが、もうこれ以上揺れが激しくなると8階にいる我々の床が抜けるのではないか?あるいは窓から二人して放り出されてしまうのではないかという恐怖が頭をよぎりました。そうなれば一巻の終わりです。

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地震の際はこの築50年のアパートの8階の窓のそばのベッドで寝ていました!

揺れている最中、私は何んとか手を伸ばして部屋の明かりをつけようとスイッチをオンにしたのですが、すでに停電になっていてライトはつかず、部屋は暗いままでした。家内は窓際から離れなければいけないという一心でベッドから何とか降りると暗がりの恐怖と闘いながら懐中電灯のあるリビングの戸棚を目指して揺れる廊下を這いながら向かいだしました。私も出来るだけ窓から離れたかったので、家内に続いて、中へ中へとリビングの方へよろめいて壁に2、3度とぶつかりながら何んとか進みました。リビングに行くと家内はスイッチをオンにした懐中電灯を胸に持ちながら座りこんでしまい過呼吸になる位の深い溜め息を何度も何度もしていました。その顔は放心状態寸前でした。私は私でグラングランと揺れ続けているビルの8階で、更にこれ以上の揺れになったら築50年のこのビルは崩れてしまうか、そうなければ上の階に押しつぶされてしまうのではないかと、そればかり心配していました。はたまた、下の階で火事が発生したら火と煙にやられてしまうかもしれない。「人生ここで終了するのかもしれない?」という思いばかりが脳裏を何度も浮かんでいました。「そうだ、そんな心配をするより玄関のドアを開けておかなければ閉じ込められる。」と思い、慌てて玄関ドアに向かい鍵をあけて全開にしました。揺れが続くビルの中、私と家内はしばしその玄関口で様子をみていました。私は万が一の際に備えてナップザック型の緊急避難セットを買ってあったのを思い出し、それを取りに自分の部屋に一旦、戻りました。

そうこうするうちに、揺れの方がだんだんと、小さくなってきました。でも、尚、建て物はきしみながら、まるで海に浮かぶ小舟のように左右にグーラグラー、グーラグラーと揺れていました。ありがたい事に、家の床は抜けませんでしたし、上の階も落ちてはきませんでした。あとは火災がなければいいのですが・・・。リビングの窓からまだ暗い外の様子を見てみると、外はアパートの警報が響き渡っていて、興奮している人達の声があちらこちらから聞こえてきていて、向かいに建っている13階建てのアパートの幾つもの部屋の中から懐中電灯の光が当てもなく右往左往している様子が見えました。

「またとんでもないことが起こってしまったよ!」

と思いつつ、急いで寝巻姿から避難出来るジーパン姿に着替えました。停電状態になっておりテレビが付かないことが分かり、先ほどの避難セットに入っていたラジオを取りだして少しでも情報を入手したいと思い、一番感度の良い局にダイヤルを合わせました。聞こえてきたアナウンサーの英語の声もさすがに高ぶっていて、およそ冷静ではいられないといった感じでした。彼自身も何がどうなっているのかが分からない中でおろおろしながら放送をしているのが分かりました。その局では、ほどなくして連絡の取れる局の関係者の自宅付近の様子を伝えるレポートが始りました。しかし、出てくる関係者はみんな興奮状態で状況が把握出来ていない中で話しているので、およそ有益な情報は得られませんでした。中には「ぐっすりと眠っていたら家のまわりを日本のモンスター(おそらくゴジラを意味していたのでしょうが・)が歩き回っているのかと思って目を覚ましたよ。」などと「すっとんきょうな事」を言っている人もいました。

我々のいる8階には8世帯が住んでおり、皆が皆、玄関口を開けて、不安な面持ちでまずは早く夜が明けてほしいと祈っていました。我々のすぐ左隣りの部屋は男女のカップルがルームシェアをしており、その日は普段会計士をしている女性の方だけがおり、彼女と会話をすると、その日は丁度、彼の方が旅行に出かけていて不在にしているとのこと。彼女は一人だったせいか不安の色を隠し切れずジャージ姿のまま携帯電話で仕切りにあちらこちらに電話をしていました。また彼女が「不在の彼の部屋を覗いてみたら、いつも彼が寝ているベッドの上に大きな本棚が倒れていて、彼がいつものように寝ていたとしたらと思うとぞっとしてしまう。」と興奮しながら話してくれて、私と家内を家の中に招きいれて彼の部屋を覗くように言うのです。二人して彼の部屋の中を見てみると確かにそこには大きな本棚が倒れていて、あたりには無数の本が散乱していて、その下にベッドがありました。確かに彼がぐっすり眠り込んでいたらとんでもないことになっていたかもしれません。

斜め向かいに住んでいる男性二人組は、この建物にいる方が危険だと思ったのか、二人して必要最低限のものをカバンにつめて、慌てて、階段を下りていきました。私たちの部屋は玄関口のすぐ横がキッチンなのですが、かなりの数の皿が割れて床の上に散らかっていました。靴を履いて、キッチンに入り、窓から下を覗くとさっきの二人組が建て物の前に停めてあった車に乗り込むと、素早く車を発進させてそそくさと何処かに行ってしまいました。おそらく停電で信号は止まっているでしょうが・・。

どこにも行くところなどない私と家内は眠い目をこすりながら開けはらった玄関口に日本から持ってきていた座布団を敷いて、そこに座って日の出を待つことにしました。もちろんエレベーターも止まっているので、上の階の住人たちが階段を下りてきて、我々に軽く目で挨拶をしながら更に下へと降りていきました。は下からまた上がってくる人もいました。下から上がってきた若者から「下で火事が起きているような気配はないよ。という情報が聞けてホッとしました。その間、何度も何度も余震があり、その都度、また大きな揺れが来るのではないかとびくびくしていました。つづく