4.新居はパーク・ラブレア!(のつづき)
先輩駐在員が借りてくれたウエストウッド地区のウィークリーアパートメントの賃貸期間は2週間。先輩との業務引継ぎ期間も2週間。この間、関係書類の作成の仕方、現在進行中の業務の引継ぎ、通常業務で毎月最低一度は打ち合わせをする外部スタッフへの挨拶回り。これら業務の引継ぎ時間の合間を縫って車の教習を受けていたのでスケジュールはもうパンパン。それゆえに新居探しにもう少し時間を割きたかったのですが、時間的にその余裕はありませんでした。新居のパークラブレアでの生活を始めるということは、いろいろと親切に事細かく教えてくれていた先輩が日本に帰国して自分一人で支社を廻すということをも意味していました。
新しく暮らすことになったパーク・ラブレアですが、我々はバーンサイドという住所に立っている13階建ての高層住宅の8階の部屋へと引っ越してきました。さすがに8階の高さなので景色はとても綺麗でした。洗面所・風呂場にある窓を開けて顔を左に向けるとなんと結構離れてはいますが山の斜面に街のシンボルであるHOLLYWOODサインが見え、夕焼けの頃にはその付近の山々がとても美しく空一面がオレンジ色とフルーツ牛乳色が混ざり合ったような色に染まり、夜になるとクラーク・ゲーブルやマリリン・モンローが常連だったというルーズヴェルトホテルのネオンやその付近にあるサンセット通りのキラキラと煌めいている夜景を眺めることが出来ました。この部屋を借りる時にはHOLLYWOODサインが見えるとは露にも思わなかったので、なんだかとても得をした、いやいや、とても贅沢な気分になりました。
築50年にも及ぶパーク・ラブレアには、今の若い人はあまり聞いたことがないかもしれませんが、まだ駆け出しだった頃の映画スター、グレゴリー・ペックが暮らしていたこともあったそうです。敷地内は美しい花や植物だけでなく野生のリスが時折、姿を見せていましたし、名前が分からないのですがブルーグレイ色の美しい鳥が窓に止まったりして日本とは違う風景がとても新鮮でした。
このパーク・ラブレアは住宅地でありプライベート空間ですのでロサンゼルスに旅行に行ったら訪れるような観光スポットの中には入ってはいません。ですからロスの中心街を幾度となく訪れたことがあるという方でも「そんなところあったかしら?」と思われるかもしれません。近くには以下のような有名スポットがあります。こちらであれば旅行で訪れたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?俗にこの辺りはミッドウッルシャー地区と呼ばれているようです。
- ビバリーセンター
- ファーマーズ マーケット
- ロサンゼルス カウンティ ミュージアム(美術館)
- ラブレア タール ピット ミュージアム
上記の4ケ所はラブレアから車で3分から7分あれば着いてしまいますのでビバリーセンターやファーマーズマーケットには頻繁に通うことになりました。
ラブレアの中の駐車スペースですが、一つは無料で自由に停められるフリースペースと雨の時に濡れないようになっている屋根付き・セキュリティ付きの有料駐車場の2種類がありました。引っ越したばかりの頃は仕事を終えて帰ってくる度に空いているフリースペースを探しては駐車していました。「無料でこれは助かるなぁ。」などと思っていたのですが、毎日帰宅する度に空いているスペースを探すのですが、広い敷地内、しかも帰宅する頃には暗くなり始めているので、空いている場所が見つけづらくなります。また自宅の近くのフリースペースが空いているとは限らずに、場合によっては、停められる場所が自分のビルからかなり離れた所になってしまうことがありました。車を降りるとまわりには13階建ての同じ形のビルばかりなので、自分の住んでいるビルがどれなのか?まったく分からなくなってしまい、その度毎に迷子になっていました。(トホホ、情けなや!!)
毎日迷子になるのが段々嫌になってきて、その翌月から自分の暮らすビルのすぐ近くの有料の室内駐車場を借りることにしました。駐車する場所が定まったおかげでそれからは迷子にならずに家に辿り着けるようになりました。
パークラブレアは広々とした中庭があり、綺麗な花々が植えられているだけでカリフォルニアを感じられたのですが、日本人である私にとってよりカリフォルニア感が感じられたのは、そこかしこに背の高いパームツリーがあることでした。あの木は東京・埼玉では見かけませんから。
パークラブレアに暮らして1、2ケ月経った初夏(5月)になってくると、「ジャカランダ」という美しいうす紫の小さな筒状の花があることを知りました。パーク・ラブレアの中の高い木にたくさん咲いているその美しい花ですが、最初のうちはパーク内だけに咲いているのかと思ったのですが、そうではなく、その時季のロサンゼルスでは町の至るところで見受けられるとても美しい花であり、またひらひらと地面に落ちるその散り方が日本の桜のそれととても似ていました。
ロサンゼルスの日中の自然の美しさは格別で確かに日本では味わえない素晴らしさがありましたが、やはり夕陽が沈んだ後の夜のロスは日本にはない怖さが漂っており、日本のように気楽に夜道を歩くことが出来ない町、そこは明らかに日本人としては馴染むことが出来ませんでした。
つづく
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