☆スターの家は丘の上☆ (のつづき)
今日の以下のブログは1992年に私がトム・クルーズの家を車で探しに行った時のことを書いているのですが「トム・クルーズ」の新作が公開される度に「再掲出」を繰り返しているので、前にお読みになられた方は「また出してる」とお思いの方もいらっしゃるかと思います。ですので、ご興味のある方のみお読みになってください。お願いいたします!
cvcportoalegreによるpixabayからの画像
1992年の春、暴動の後、ロサンゼルスでの生活に慣れ始めてきた私は、ロサンゼルスの道を覚える必要にも迫られていた事もあり、週末になると家内と一緒に車でよくでかけていました。ミーハーな私としてはてっとり早く、しかも積極的(果敢に)に道を覚える方法として、セレブの方々が集まって暮らす居住区、つまり「スターの御屋敷探し」はうってつけの方法だったのです。
言葉だけなので分かりづらいかとは思うのですが、ベネディクト・キャニオンドライブから北上してマルホランドドライブにぶつかり、右へしばらく走ると右手に美しい花々に囲まれた「ビバリーパーク」と書かれている施設がありました。ここの前を通った時にパーク(公園)と書かれていたので、てっきりビバリーヒルズがやっている市営の公園なのかなと思って中に入ってみようとしたところ、入り口に立っていたセキュリティのスタッフが寄ってきて「ここは公園ではありません。個人所有の住宅地になっているから、ここの住民か関係者でない限り、この門から中には入れませんよ。」と言われてしまいました。あとで調べて分かったことなのですが、ここはお金持ちの方々がゆったりと暮らすための集合住宅地であって、お住まいになられている方々の中には歌手のロッド・スチュアートやバスケットボール選手のマジック・ジョンソン、シルベスター・スタローンの最初の奥さんであるサーシャさんといったリッチなセレブの方々が数多く暮らしているところでした。「なるほど、そりゃあ、簡単には中に入れないだろうなぁ!」と思いました!
(この施設とは別に「ビバリーヒルズパーク」という公園は他の場所にしっかりとありました。ややこしい!)
この「ビバリーパーク」という施設(居住地区)を後にしてその前の通りを走っていたら、その道すがらとても立派な家がオープンハウスとして売りに出されているところがありました。不動産業者の車が数台止まっていて外には煉られたセメントなどがあり、建設スタッフがまだ作業中ですぐには住めない状態でした。広さですが、少なくてもツボ数にして150坪以上はあったかと思います。庭の部分を入れたらもっと広いでしょう。2階建ての石造りの御屋敷で、丘の高台に建てられており、庭にある大きなプールはロスの町が一望出来るように造られていて、正にお金持ちが棲むための豪邸でありました。オープンハウスということは一般公開中という意味で、見るだけなら『ただ』な訳ですから、嫌がる家内をせっついて中を見学してみることにしました。車を降りると、この時ばかりは「お金は日本の浅草という超リッチな町にある銀行の「雷門支店」にたんまりと預けてきている」という雰囲気を醸し出して、受付けにいた女性スタッフの許可を得て、ちゃっかりと中へと侵入することが出来ました。(私の頭の中では「ビバリーヒルズコップ」のテーマ曲が鳴りだしていました)1階にあるリビング、キッチンの広いこと広いこと、もちろんバスタブもかなり大きかった。目にする家の中の光景はまさに映画などに登場してくる豪邸の中そのもの。2階のバルコニーに出ると下には先ほどのプールがあって「いったいこの広いプールに水を張るのに水道代いくら掛かるのだろう?」とつい要らんことを考えてしまいました。顔を正面に向ければロサンゼルスの町並みが一望できます。さぞや素敵で綺麗な夜景を見る事が出来ることでしょう。世の中にはこんな贅沢な家で生活をする人もいるのかと思い、口あんぐりの状態となりました。残念ながら、自分には夢のまた夢なので現実味がありませんでしたが・・・。(もちろん日本のお金持ちの方々は購入可能だと思われますが、残念ながら私はその候補者リストにすら入れないというだけのことです)
帰り際に受付の女性に「こちらはお幾らなのかしら?」とまるでおかまのエディマーフィー風に尋ねてみたところ「4ミリオンダラーです(約4億円)」という答えが返ってきました。「あ~らリーズナブルじゃない」という眼差しで軽く会釈をして、その邸宅を後にしましたが「まったく買う気のない変な日本人カップルが冷やかしにやってきたわ」と思われていたと思います、完全に!!
翌週末は場所を変えてロサンゼルスでも西の海岸線はサンタモニカに近いパシフィック・パリセーズ辺りへと向かいました。この地区には当時トム・クルーズとニコール・キッドマン夫婦の家があることで知られていました。他にもビリー・クリスタルやアーノルド・シュワルツェネッガーらも暮らしていました。この辺りはマルホランドドライブのようにお屋敷がポツンポツンとあるというよりも「住宅街」といった感じで、しかも凄い豪邸ばかりが隣接していてお金持ちの住宅街といった雰囲気の地域でした。
この辺りにトム・クルーズの家を探しにいった時は中々番地が見つけられずに大変苦労しました。例の「虎の巻」の本でトムの家の住所をしっかりと確認して番地と地図帳を何度も何度も見ながらその辺りを隈なく走っていたのですが、本当に分かりませんでした。正に変な日本人夫婦が同じ道を何度も何度も行ったり来たりしているのですから、さすがに「あの日本人夫婦は何してるんだ?」と近隣の人に思われいたに違いありません。いや、もしかするとトム・クルーズ夫妻の屋敷を探しにくるのは、何も我々夫婦だけに限ったことではなく、世界中からミーハーな映画ファンがやって来ていることでしょうから、近所の方々もきっと慣れっこになっているに違いないと誠に身勝手なことを考えておりました。
我々の本に載っている情報によるとトム・クルーズの家の本当に近くまで来ているのですが、どうしても彼の家の番地を見つけ出すことができませんでした。閑静なお屋敷ばかりが建ち並び、道路幅は7,8メートルのほどある閑静な豪邸街の昼下がり。「ないなぁ、ないなぁ。」としかめっ面で車の中でぶつぶつと言っている私の目の前に運良くハンサムな中年男性が現れてくれたのです。そのトム・クルーズにも負けないくらいのハンサムな男性は「どうしたんだい?」と声をかけて来てくれたのです。これぞ正に神のお導き!!
ここはもう正直に尋ねてしまうしかないと思い「トム・クルーズの大ファンで彼の家を探しているんです。」と聞いてみました。すると「やっぱりね」と言わんばかりに二コっとしたかと思うと「ああ、それなら、ここがトムの家だよ。」と我々が車を停めている目の前にある家を指さしていました。トムの家の門は木製で横に長くがっちりとしていて家のまわりは、やはり他の映画スター同様、高い木々が目いっぱい植えられていて中の様子が見えないようになっていました。家の番地はやはり一切書かれていませんでした。何んとなく裏門のような雰囲気も漂っていたので、ここがトムの家の入口だとは思えませんでした。高い樹木が風に揺れて、その合間合間に僅かながら隙間が出来て、その隙間から微かに中の「家」が見えました、白い外壁の家が・・・。
そのハンサムな男性は「でもね、彼らは週末まで家を留守にしているよ。」などと何ともまぁ細かい情報まで教えてくれました。確かにトム・クルーズ夫妻は家を留守にしているらしく、門の前にはロサンゼルスタイムズ紙が数日分どんと置かれたままになっていました。その紳士は丁寧に「バァーイ!」と挨拶をしてくれたかと思うとトムの家のすぐそばに建てられているヨーロッパ調の素敵な2階建ての家の門の鍵を開けて中へとすぅ~っと入っていきました。つまり、彼はトム・クルーズのお隣さんだったわけです。
今のハンサムな紳士はトム・クルーズ、ニコール・キッドマンのご近所さんな訳で、銀幕のスターたちが自分の家のすぐそばに住んでいるという環境・感覚とはどのようなものなのか、今度、奇跡的に彼に会うことが出来たら、じっくり聞いてみたいものだと思いました。でも、本当は僕らが知らなかっただけで、今のあの紳士も実は物凄い人で、普段だったら会えないような人だったのではないでしょうか?