今の時期、映画「アンネの日記」の内容のことを考えることは大切なことのように思い、以下に映画「アンネの日記」のことを書いておりますので、ご一読頂けますと幸いです!
昨年、還暦になったのですが「観たい」「観るべきだ!」と思ってはいても、なかなか観る機会を逸してしまっている映画が意外と多くあるのです。今日これからお話しする映画「アンネの日記」は、私としても「いつかじっくりと鑑賞しなければ!!」と思いつつも、ずるずると先へ延ばしてしまい、気が付くとこの作品のことを知ってからもう35年もの時が過ぎてしまいました。
この作品自体、アメリカで公開されたのが1959年なので、私が生まれる少し前の作品です。「悲しい戦争の映画」というイメージからどうしても観るのを敬遠してしまっていました。でもこの2022年の今だからこそ「戦争の悲惨さを今一度しっかりと認識しよう」とも思い、この作品をじっくりと鑑賞することにしました。
製作は20世紀フォックス社。全編色黒の映画です。製作・監督はジョージ・スティーブンスで「ジャイアンツ」という作品も監督しています。音楽はアルフレッド・ニューマン。主演はミリー・パーキンス。映画はアンネ・フランクという当時13歳だった少女の「日記」を元に作られています。本物のアンネ・フランクの写真も残っているので、彼女の顔も分かってはいるのですが、この映画のポスターなりパッケージの表紙などにはアンネを演じた主演のミリー・パーキンスのファイスショットが載っていて、結構その写真も目にすることが多かったので映画に出ていた主演女優のミリー・パーキンスがアンネ・フランクその人そのままのようにも思えてしまうのです。
※以下に映画の内容と結末を書いていきます。この映画をこれからご覧になられる方で【ネタバレ】を気になされる方は、ここで読むことをストップして頂き、是非ともじっくりと映画自体をいつかご覧いただきたいと思います。
【映画の内容と結末】
第二次世界大戦中、ドイツの占領下のオランダ・アムステルダム。ドイツのユダヤ人狩りから逃れてアムステルダムの隠れ家に身を寄せるアンネ・フランクの家族4人とアンネの父フランクの友人夫妻と彼らの息子のペーターの3人、そして、元歯科医で独身の中年男性・デュッセル氏の8人。そんな隠れ家となる3階建て(?)ビルも近くで戦闘や爆発が起こると揺れに揺れると細かい瓦礫とホコリが舞い上がります。戦闘が落ち着いている時も、その家にユダヤ人がいることをまわりの人たちに気付かれてはいけないので、家の中にいる時も「息を潜めて」暮らし続けています。だから彼らの暮らしているフロアの下の階に泥棒が入ったとしても「明かり」を消してじぃ~っとしていなければなりません。このように息を潜めて暮らす日々の生活の模様をアンネは綴っています。このような自由を奪われた生活を強いられて、時に皆で小声で歌を歌ったりする様子を観客である我々も一緒になって息を殺しながら映画を観続けてしまうのです。決して広いとは言えない、その住居の空間内で8人が共同で暮らす生活が2年間続いていきます。ほんの少しだけ「安堵」の気持ちを感じることが出来たのは、映画の後半になって「アンネとペーター」の間に「恋心」が芽生えて、それが彼らの口づけとなってその気持ちが成就したことであったりするのです。戦時下だからこそ「男性が女性を、女性が男性を愛する」という「気持ち」はとても貴重であり「何物にも代えがたいもの」だと思いました。あの局面で「相手を思う無償の『愛』」を知ってしまったことは、後に訪れる別離の辛さを考えると「さぞや苦しく辛かったであろう」とも思うのですが、でも「恋をした」という事はとても貴重な体験だったのではないかと思うのです。
映画のラストでは「戦時下の何者も防ぐことの出来ない理不尽さ」というものを嫌というほど突きつけられます。
でも、8人の中、唯一生き残ったアンネの父フランクによって「アンネの日記」が世に出されることになり、その内容が映画化されて、後の世を生きる人々に「戦争の悲惨さ」と「この8人の苦しかったであろう人生」を伝えられることになったことに私はある種の「救い」であると感じてしまうのです!
映画のクライマックス近くでアンネはペーターに次のように言います。
「わたしだけじゃないわ 昔からいろんな民族が苦しい目に遭ってきたわ」
「こんな恐ろしい世の中で何かを信じるのは難しいわ でも私は思うの 私と母みたいに今に世の中も変わるわ 何百年と待たなくても いつかこんな時代は終わる こんな世の中でも私は信じてるわ 人間は本来は善よ」
「でもペーター 広大な宇宙からみたら 私たちの命なんて一瞬よ」
「空をみて 綺麗でしょ いつかまた外に出られる日がきたら」
このような「心」を持っていたアンネであれば人生の最期を迎えた時に、きっと前向きな気持ちでいられたに違いないと信じたいです。そして、彼女のこれらの言葉こそ「真理」であるとも。
観終わってから、なるほど”ずしん”と胸にくる悲しいお話でありました。悲しい結末をむかえるラストシーンには、しばし言葉を失いましたが、その「現実」をしっかりと受け止めて明日に向かわなければなりません。
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今を生きる私たち全人類は「過去にあった過ちを繰り返してはいけない」のではないでしょうか。