6.ニューヨークを嫌いになった2つの出来事 その①
ロサンゼルスに駐在していた92年から95年の3年と4ケ月の間、私は一度も日本に帰りませんでした。休暇や連休はアメリカ大陸のどこかの町に行っておこうと決めていたので、実際、日本に帰ってきてからだと、ずっと働いている訳なので、まず行きたいところに行ける時間が取れません。お金もありませんが。
そのような訳で休暇や連休となるとアメリカ国内のどこかに行っていた訳です。今回はニューヨークのことを書かせて頂きます。
しかし初めにお断りしておきますが、今回は私が「ニューヨークを嫌いになった訳」というタイトルからもお分かり頂けますように「面白・可笑しい」内容ではありません。「夜のホテルの部屋での奇妙な体験談」になるので爽やかな日をお過ごしになりたい方は、私の「過去記事」をお読み頂いた方が、今回はよろしいかもしれません。
ニューヨーク好きの方は、ロサンゼルス・カリフォルニア・西海岸好きの私がとやかくお話しするまでもなく素敵な美術館、レストラン、ブティック、舞台等々はよくご存じかと思いますので、今回はそういったお話しはいたしません。
まず、「どうして嫌いになり、今も行く気になれないのか。」。その理由ですが、お読みになると「なんで?それで?」と思われるでしょう。私にもその理由は分からないし、皆さんから「それで・・」と突っ込まれるのは分かっているので書くことを躊躇ったのですが、やはり書き記しておくことにしました。
それでは、1993年の夏に時を戻しましょう!
私たち夫婦がニューヨークを訪れたのは1993年の夏休みを利用しての旅行でした。今回、ニューヨークで過ごすのは2泊3日だったのですが、夏休みということもありホテルが混んでいて一泊づつ別のホテルに泊まることになってしまいました。
さてさて、ロスからニューヨークへのフライト時間はおよそ5時間。国内で時差があるのでやっかいなのです。
仮にお昼の12時にロサンゼルスを出発すると5時間後にニューヨークに到着します。ロス時間では夕方の5時(17時)ですが、時差の関係でニューヨークが3時間進んでいるので到着したニューヨークでの時間は夜の8時(20時)ということになります。
時差の事を考えて、今回はロサンゼルスを出るのを極力早い時間に出発することにしました。それゆえ、ニューヨークへは何とか夕方に到着することが出来ました。チェックインを済ませてからは「夕食と夜景ツアー」という現地の日系人引率のツアーに申し込んでおいたのでそのツアーに参加しました。確かにこの日登った「エンパイア・ステイト・ビル」からの夜景はとても綺麗でした。この日はそのツアーを終えて、ホテルに戻って、普通に寝てしまいました。
次の日、ホテルをチェックアウトして、2泊目をする予定のホテルまで先に行って荷物を預かってもらい、この日はツアーには参加せず、自分達で市内観光で観光スポット巡りを行いました。その中で「ワールド・トレード・センター(世界貿易センタービル)」にも訪れたのですが・・。この「ワールド・トレード・センター」の2つの大きなビルは皆さんもご存じのように後年2001年9月11日にアメリカ同時多発テロの標的となってしまいます。私たち夫婦が訪問したのは1993年の8月のあたまのことでした。
この「2つの超高層の施設」が聳え立っているビルの前に立ち、普通に入り口からこのビルに入った瞬間からでした。どういうことなのか?体の調子がおかしくなってしまったのです。それこそ理由が分からないのですが、家内はどんどん中を見て回ろうとするのですが、それに体がついていけないのです。一階のフロアの中心に近づいていくと気持ちがムカムカしてきたのです。その負の嫌な気持ちがドンドン増してくるのです。家内はどんどんと中に入って行き、このビルの中で観光出来る箇所はすべて見てまわるつもりでいるのですが、私の方はどういう理由なのか本当に分からないのですがビルの中に入って5分くらい経ったところで「もうダメだ、この施設から離れたい。ここにいたくない。いてはいけない。」と思ってしまったのです。中をもっと見てまわりたいという家内を制して「もうだめだ。どうしてだか分からないけれど気持ちがムカムカする。もうこの施設から出たいんだ。」と無理を言って、この時ばかりは彼女の腕を掴んでその場を離れました。家内は「なんでよ~」と一人ぶつぶつ言っていましたが・・・。
あの時、何故あのようなイヤ~な気持ちに襲われたのか、その理由はわかりません。あの負の嫌な気持ちはその場を離れてもしばらくの間は続いていました。一時間位してからようやく収まったと記憶しています。その後、アメリカ滞在中、あのようなイヤな気持ちを感じることはありませんでした。(ロス地震の前もありませんでした。)これがニューヨークの印象を悪くしてしまった最初の出来事です。
そして、二つ目はそんなことが昼間にあった日の夜に起こりました。この日、一泊だけするホテルはロサンゼルスにも系列のホテルがあって「マリリン・モンロー」の幽霊が出るという噂があるホテルでした。先ほども言いましたが、夏の観光シーズンだった為、空いているホテルがそこしかなかったので、そんな噂など気にしていると泊まる所がなかった為、そのホテルに予約を入れることになった訳です。
古い造りではありましたが、昼間歩き回っているので夕食を済ませてしまえば、お腹もいっぱいになり、ばたんきゅーっと寝てしまうだろうからあまりホテルの中がどうとか気にしていませんでした。宿泊するホテルでの部屋は3階にあって、かなりの年数が経っているように思いました。気になったことがあるとすれば、部屋に入った時に何となく冷たい空気のようなものを感じたかなぁということです。ただ昼間にワールド・トレード・センターでイヤな気持ちも味わっていたので、とにかく早く寝てしまおうと思い、夕飯を済ませて、シャワーを浴びて、早々に床につきました。そして電気を消して・・。
つづく