11.ナイアガラの滝!(のつづき)IMAXとは? &「スーパーマンⅡ」 リチャード・ドナー監督カット版について!
前回、体験記058の中でIMAXとIMAXシアターについて書きましたが読者の方から「IMAXシアターとは何ですか?」というコメントを頂戴したので、ご説明をしておきます。日本にも「IMAXシアター」を併設している映画館も増えてきていますが、IMAXシアターがない地区のお住まいの方ですと「そりゃなんだ?」となってしまうのも仕方のないことかもしれません。「IMAXシアターって何?どういうものなの?」というご質問に対して、事細かく説明していくと様々な種類があったり、歴史も70年代からの説明になって細かすぎて聞くのがイヤになってしまうと思います。ですので映画館に併設されているIMAXシアターを楽しめればよいという視点から物凄~く簡単にご説明してしまうと「IMAXシアターとは通常の映画館のスクリーンよりもかなりドデカイ画面で映画・映像を楽しめる映画館なのです」と言えばお分かり頂けますでしょうか。映像がデジタル化される前において私たちは35mmフィルムを使ってカメラを長い間に渡り使用してきました。最初の頃のIMAXでは大画面できめの細かい映像を映写して限りなくリアルに再現出来るように35mmフィルムの倍の大きさの70mmのフィルムを使用していました。このように大きなフィルムとネガを使用して映像を撮影し、それを巨大スクリーンに映写することになるので大自然の風景などを記録し鑑賞するには持ってこいの記録媒体となっていきました。
この大きなフィルムで撮影されたスペクタクルな巨大映像を鑑賞出来る最初のIMAXシアターがオープンしたのが、前回紹介したカナダのナイアガラの近くのオンタリオにあるIMAXシアターだったのです。このIMAXという会社自体もこのオンタリオに設立されました。その後、世の中はフィルムの時代からデジタルの時代への移行に伴い、IMAXもフィルムからデジタルに対応をしてきました。そして、現在では全世界に450ものIMAXシアターがあるそうです。IMAXは「ナイアガラ」という作品にみるように歴史的史実、大自然、海の中の生物などといったものを素材・題材にして独自に映像作品を製作してきました。そして、完成した作品を自分たちのIMAXシアターで公開するという独自のビジネスモデルにて興行を行ってきましたが、今では普通の娯楽映画のアクション大作などもIMAX版を製作してIMAXシアターで映画と同時に一般公開するようになってきています。日本ではイオンシネマ、シネマサンシャイン、TOHOシネマズ、ティ・ジョイ、ヒューマックスシネマ、ユナイテッド・シネマ、109シネマズといったシネコンや映画館で導入(併設)がされています。
- 茨木県 シネマサンシャイン土浦
- 埼玉県 109シネマズ菖蒲
- 埼玉県 ユナイテッドシネマ浦和
- 千葉県 USシネマちはら台
- 千葉県 成田HUMAXシネマズ
- 千葉県 ユナイテッドシネマ松戸
- 東京都 TOHOシネマズ日比谷
- 東京都 グランドシネマサンシャイン
- 東京都 ユナイテッドシネマとしまえん
- 東京都 TOHOシネマズ新宿
- 東京都 109シネマズ木場
- 東京都 TジョイPrince 品川
- 東京都 109シネマズ二子玉川
- 東京都 109シネマズ(町田)
- 神奈川 109シネマズ川崎
- 神奈川 TOHOシネマズ横浜ららぽーと
- 神奈川 横浜ブルク13
- 神奈川 109シネマズ川崎
上記は関東近辺にあるIMAXシアターなのですが、大きな映像のIMAX作品をIMAXシアターで鑑賞したいと思ったら皆さんのお住まいの近くにあるIMAXシアターを探して頂き、その劇場に行って鑑賞して頂くことになります。お値段は通常の映画料金よりも少しお高くはなるのですが、大きな画面で見るアクション・ヒーロー大作は映像の中に入り込んでいるかのようになるので本当に見応えがあります。まだIMAXシアターで映像をご覧になったことがないという方は「映像を体験してみる」という気持ちで是非劇場の方に足を運んでみてください。(コロナに気をつけつつ!)
さてさてさて、今回、お話ししようかどうか迷ったのですが、この「ナイアガラ」というIMAX作品が何十年にも渡り様々な世代の観客を楽しませているということを前回お話しさせて頂きました。それに触発されたところはあるのですが、やはり私も大好きであるクリストファー・リープ氏への哀悼の意を込めて、前々回057でお話しした「スーパーマン2」に関して更にお話しをさせて頂きたいと思います。私のように映画の大ファンでないと監督がどうのこうのと監督にこだわって映画を観る人は少ないかとは思いますが、クリストファー・リープが演じた「スーパーマン」が好きで「パート2」も見たことがあるという方は是非、以下をご一読願います。
ここからのお話しは「スーパーマンⅡ リチャード・ドナー監督 カット版」ブルーレイに入っているリチャード・ドナー氏のインタビューの内容から一部ご紹介させて頂きます。より深く知りたい方は是非ブルーレイのドナー監督のインタビューをご覧になってみて下さい。
もともとこのリチャード・ドナー監督による「スーパーマン」(1978年度)という作品は「前編」と「後編」の2部構成で製作がスタートされていたのです。「パート2」の内容が進行していくにつれてドナー監督とプロデューサーのサルキンド氏の意見が対立してしまいます。どうもサルキンド氏はドナー監督の内容だと予算を大幅にオーバーしてしまうことを良しとせず作品の75%分もの撮影が終わっているという段階でドナー監督を降板させてしまいます。そして、助監督?的な立場にいたリチャード・レスター氏を監督にして作品を完成させて、このレスター版を「スーパーマンⅡ」として全世界的に公開することになるのです。ドナー監督としては75%分も自分で作ったものが他の監督作品として公開された訳ですから記憶から消してしまいたい作品になってしまったに違いありません。ですからレスター版「スーパーマンⅡ」の試写会に参加したドナー監督はその出来に落胆して自分の名前はこの作品にはクレジットしないでほしいと要請したそうです。
その後、公開から何年も経ってからインターネット上などでファンから是非ともリチャード・ドナー監督により編集された「ドナー版」を見てみたいという声が高まっていきます。そして、公開から25年以上も経った2006年になって「ドナー版」のDVDとBDのリリースがされることになったのです。ブルーレイの中のドナー監督のインタビューによるとドナー氏はこの作品のフィルムとネガがどこにあるのかが分からなくなっていたので自分の編集版を作ることは一生出来ないのだろうと諦めていたのだそうです。
しかししかしです。インターネット上でドナー監督自身によるカット版の要望が高まっていることを知ったプロデューサー、マイケル・ソー氏が20数年もの時を経て、ドナー版を製作するという難作業に挑みます。彼はネガとプリントがロンドンにあることを知り、それをすべてアメリカに取り寄せたのですが、その重量はなんと6トンもあったそうです。彼と彼のチームは根気よく届いた映像のネガ・プリントをすべて整理をしていき、リチャード・ドナー監督が撮影した分の映像素材の全てを集めることが出来たのです。そこからマイケル・ソー氏が全体を編集し、必要な箇所にエフェクトを加えていきました。リチャード・ドナー監督も自身で演出・撮影した部分をすべて見直して編集作業に加わり、ドナー監督版へと仕上げていきました。作品の好みは人それぞれでしょうが、私はドナー監督版を観てみて、やはりこちらの方を当時(日本公開は1981年)「劇場で観たかったなぁ」と思いました。
リチャード・ドナー監督はブルーレイのインタビューの中でとても興味深い発言をしています。「クルストファー・リーブとマーゴット・キダー共演による『スーパーマン』(ドナー監督版の)3作目、4作目のアイデアもあったので、それが実現出来ていたらさぞや素晴らしいシリーズになっていただろうに。」と。う~ん、観たかったなぁ~。本当に心から残念でなりません、それこそ、スーパーマンのように時を戻せればいいのになぁ~!!
つづく