13.サンフランシスコ⑥ シリコンバレーにある不可思議なお屋敷のお話!
前体験記069では「ヨセミテ国立公園」の森が「スター・ウォーズ エピソード6ジェダイの帰還」で惑星エンドアという設定で出てきた森のロケ地なのではないのか?というお話しをしましたが、その際にヨセミテという所はアメリカの西海外にあるサンフランシスコから車で東に4時間から5時間ほど内陸方面に走った所にあるとお伝えしました。今回は、カリフォルニア州のサンノゼという町に建てられているミステリー・ハウスという何とも奇妙な建物についてお話したいと思います。
みなさんはIT業界でトップ集団に入ってくる会社が集まっているエリアとしてシリコンバレーという地域があることはご存じかと思います。このシリコンバレーというのは地名ではなくてその辺りのベイエリアにある地域の総称なのです。実際の町でいうとサンノゼ、サンタクララ、マウンテンビュー、スタンフォードなどがシリコンバレーになります。以下にそれぞれの町にあるIT起業を挙げてみます。
サンノゼ - アドビ
サンタクララ - インテル
マウンテンビュー-グーグル、アップル
スタンフォード - ファイスブック
といった名だたる企業がこの地域、シリコンバレーにはあるんですね。サンフランシスコから車で行くと2時間弱位になります。私の場合は、ロサンゼルスから車で行くことがあったので、シリコンバレー地域を通ってからサンフランシスコに着くというそんな感じでした。さて、そんなシリコンバレーの中の町、サンノゼに「奇妙なお屋敷」があることをご存じですか?その名は「ウィンチェスター・ミステリーハウス」というのですが・・・
お屋敷の話しに行く前にに、皆さん「ミステリー」というワードですが、普段、知らず知らずによく耳にしたり使っているワードですが「サスペンス」とはどう違うのでしょうか? はやまた「スリル満点」の「スリル」というのはどういう意味なのでしょう?どれも外来語というか、英語ですよね? それぞれ辞書で意味を確かめてみると、
ミステリー/ MYSTERY 不可解なこと
サスペンス/ SUSPENSE 不安、気がかり
スリル/ THRILL ぞくぞくさせるもの
なのだそうです。だったら「火曜サスペンス劇場」は日本語にすると「火曜気がかり劇場」という邦題になってしまう訳で、日本人は毎週火曜日、きまってそんなに不安な気持ちを味わいたかったのでしょうか??ふむふむふむ?
さてさて、今回メインでお話ししたいのはサンノゼにある「ミステリー・ハウス」というお屋敷なのですが、ミステリー/ MYSTERYという単語は 「不可解なこと」を意味するわけで、ではでは、このお屋敷、どこがどう不可解なのかということになりますが。
この「ウィンチェスター・ミステリーハウス」には実際に私も行ったことがあり、そのお屋敷の中を見学しました。なんともまあ奇妙な感じがしました。絶対に私はここでは暮らせないと思いました。
私がこのお屋敷の中を見学に行ったのは1990年代前半になるのですが、それまでさサンノゼというところにこんな気妙なお屋敷があることはまったく知りませんでした。サンフランシスコ観光のために購入したガイド本に「なんとも奇妙なお屋敷があり、中を見学出来る」とあったので、どんなお屋敷なのか興味をもち、一度行ってみたくなり、サンフランシスコへ行った際の旅程のコースに加えてみました。ですからここがどういう経緯で建てられて、何故に奇妙なものになってしまったのか、その辺りの歴史的な背景は後から知ったというのが正直なところなのであります。
このお屋敷はサラ・ウィンチェスターというご婦人によって建てられました。1884年から建造作業が開始され彼女が亡くなる1922年までの38年間もの間、24時間休むことなくその増築作業は続けられたのだそうです。このお屋敷を訪れた際、どうしてこんなに部屋が多いのだろうか?どうして小窓がやたらにおおいのだろうか?どうして階段なのにすぐ天井に突き当たるように造られているのだろうか?開けても壁しかないドアがあったりして、この家をデザインしている人の意図がさっぱり分かりませんでした。
中の造りですが、部屋が160部屋、窓が10,000枚、ドアが2000個、煙突が17、浴室が13、階段・暖炉が47、台所が6つもあります。そして、それぞれをつなぐ廊下がやたらに狭くて、相撲取りは絶対に通ることが出来ない廊下になっており、その廊下も数多くあるのです。
家内から「このお屋敷のオーナーであったご婦人は、小柄で、巨万の富を持ち、彼女の指示で24時間、大工たちはずっとこのお屋敷の増築作業を続けていた」と聞いていたので、この屋敷の構造からして「お金目当てにやってくる泥棒対策」そして「強盗から命を守る為」に屋敷の中に様々な工夫を施しているに違いない。今でいう「セキュリティー万全」の家を目指していただろうと、当時は思っていました。
いやはや、日本に帰国してから、このお屋敷の歴史的な背景を知ることになり当時の自分の考えが浅はかで、知らないということは何んともまあ恥ずかしいことだなぁと思いました。
そもそもこのご婦人が38年間も増築し続けられるほどの富はどこからきていたのでしょうか?歴史に造詣の深い方であれば、このお屋敷名の「ウィンチェスター」という名前に既にぴんと来ていることでしょう。西部劇に出てくる銃として「ウィンチェスター銃」というのがあります。年齢が上の方であれば聞いたことがあるかと思います。そうなんです、彼女は銃の製造会社で有名なウィンチェスター社の2代目社長、ウィリアム・ウィンチェスター氏の奥様だったのです。そして、彼女はこのアメリカ屈指の銃メーカーであるウィンチェスター社の株式を50%も所有する大株主でもあったがために黙っていても毎月大きな金額が振り込まれてきていたので、どれだけ増築してもその作業費に困るということはなかったのです。(凄い凄すぎる!!) いくらお金があったとしても不幸というものを避けられるわけではなく、それが証拠に彼女は一人娘と夫を相次いで亡くしてしまいます。
銃器というものは戦争や争い時に人を殺傷する際に使用されるわけで、サラは夫と娘を失ったのは、自分の家の稼業が銃製造であり、人の命を奪う銃を売ることによって得た利益で自分は裕福な生活を送っていることに対する罰なのだと思い込みます。そして、傷ついた心をどうすることも出来ず、ある霊媒師の元を訪れます。すると彼女に降りかかる不幸はすべてウィンチェスター銃により命を落した亡霊たちの怨念がそうさせており、「彼らの恨みを晴らすためには西方面に引っ越しをして、そこで家を建てなさい。」との助言があり、彼女はその通りにして霊たちの怒りを鎮めるために家の増築を重ねていくことになります。それがその後38年間も絶え間なく増築していくことになっていく訳です。
※このお話しの続きは次号071へと続きます! つづく