16.LAリターンズ③ ディズニーアニメ映画「アラジン」を上映していた「エル・キャピタン・シアター」!
アメリカの様々な都市のことを書いている最中に「そういえばロサンゼルスのあの事を書いていない」「そうだあの事もまだ皆さんにお伝えしていない」ということが色々と頭を過ぎりまして、まだロス以外の訪問した都市で書き残したところはありますが、とりあえずは前々回から「LAリターンズ」としてロサンゼルスに舞台を戻して書き始めております。前々回は「チャイニーズシアター」で「バットマン リターンズ」を観た時のことを書きましたが、今日は「チャイニーズシアター」の前の通りを挟んで斜め前にある「エルキャピタン劇場」でアニメ映画「アラジン」を観た日のことを書きたいと思います。
そもそもなのですが、ハリウッド通りには、ハリウッドスターの手形がある映画館として有名な「チャイニーズシアター」があることはご存じだと思います。今からお話しするのは同じくハリウッド通りにあり、しかも「チャイニーズシアター」の目と鼻の先にあり、オーナーがディズニー・スタジオである「エル・キャピタン・シアター」についてです。チャイニーズシアターを背にして通りの向こう側を見てみると、左手に大きく「EL CAPITAN」の文字がキラキラと輝いている劇場があります。あそこが 「EL CAPITAN」という劇場だということは誰でも分けるのですが、ディズニーが所有していてほぼディズニー作品を上映する専門館のようになっているのですが、観光でハリウッド地区を訪れるほとんどの人がこの劇場がディズニーの持ち物であることを知らないでしょうし、劇場の中がどうなっているのかも知らないと思います。
以下に「エル・キャピタン・シアター」の中を紹介してくれている動画をご用意しました。これを見て頂くと「えっ!劇場の中はこうなっているの!?それならば是非とも時間を作って映画を観てみよう!」という気になってしまうかもしれませんよ~!! (次回、ハリウッドにいらっしゃる際には是非こちらの劇場で映画をご覧になってみてください!!)
1992年11月に私はこの劇場でディズニーのアニメ映画「アラジン」を観たのですが「ディズニーはやはりビジネスがうまいなぁ!」と思ったことを覚えています。どういうことか説明しますね。
アメリカにおいて92年11月にアニメ映画「アラジン」が劇場公開されました。公開の1ケ月位前からロサンゼルスの町中のあちらこちらに「アラジン」の大きなポスターが貼られ、車の往来の激しい道路脇にはポスターの何十倍にもなる大きな看板が設置されて車を運転するドライバーの目に「アラジン」とそのキャラクター達と公開日の情報が飛び込んでくるようになっており、公開一か月前の宣伝の力の入れようはかなりのものがあると感じました。そして全米公開の一週間前にこの「エル・キャピタン・シアター」だけ特別に先行公開を行いました。しかも、ただ上映するんじゃないんです。「エル・キャピタン・シアター」だけの特別イベントと銘打って映画が始まる前にショートミュージカル(約15分)の舞台が見られるようにしたのです。映画の料金だけでショートミュージカルも観られてしまうのでお得感満載でした。映画が上映される前に白雪姫、人魚姫などのディズニーの歴代のキャラクターたちによるショートミュージカルも観られるとあって、週末の上映分のチケットはすぐに完売となりました。そして平日分のチケットの分までもが瞬く間にソールド・アウトになっていくのです。映画を紹介する新聞記事や雑誌の映画コーナーで「エル・キャピタン・シアター」での「アラジン」の先行上映のチケットがすぐに完売となってしまった模様が大大的に報じられました。すると「アラジン」の映画だけでもいいから観たいという心理が働いて、映画の正式な公開日になると「アラジン」を上映するロサンゼルス中の映画館が満杯となり、この観客たちの熱い思いがカリフォルニア中に広がり、そして、それがアメリカ全土へと波及していきました。
カリフォルニア以外の州で暮らす人たちは当時「エル・キャピタン・シアター」でそんな素敵な特別イベントが行われているなんて知らない訳ですから「アラジン」という映画は「どうも凄く面白いらしい、早く観に行かなければ」という雰囲気を作りだしてしまっていました。まさに「ディズニーマジック」というか、素晴らしいマーケティング戦略であり、プロモーションでした、そして映画「アラジン」はものの見事に大ヒット作品となったのです。映画がヒットすると、その後はビデオ・DVDのリリースでまたビジネスの山を作り、ディズニーランドで「アラジン」のキャラクターたちが歌ったり踊ったりする新しいイベントを展開しパッケージビジネスの後押しをするのです。それに劇中に使用された音楽がまた素晴らしくてアラン・メンケンのオリジナル曲である『ホール・ニュー・ワールド』は第65回アカデミー賞歌曲賞を受賞し、ディズニーランドでのショウでも音楽でイベントを盛り上げていきますから、まさにメディアミックスによる映像ビジネスの見事なまでの完成されたスタイルを確立していったわけであります。
実はディズニー映画は1980年代は不遇の時代とされていました。そして90年代に入り「アラジン」の前に「美女と野獣」が大きくヒットをしてディズニーアニメの成功の方程式が動き始め、今お話ししように「アラジン」で見事なまでに映像のメディアミックが大成功となり、その良い流れに乗る形で次なるアニメ映画「ライオン・キング」が続いて公開されて、この作品でも更に大きな成功を収めていきます。ディズニーではこの時期を「ディズニー・ルネッサンス」と呼んでいるのだそうです。以後、ディズニーは新作を劇場公開する度に「エル・キャピタン・シアター」用に特別な催し物を用意して観客を楽しませることが慣わしとなっていき、今ではディズニー映画を観るなら「エル・キャピタン・シアター」に行かなくちゃということになっているようです。
ですから90年前半の「ディズニー・ルネッサンス」の呼ばれている時代とその大成功となる過程を真近で見て体験することが出来て、私はとてもいい時期に「エル・キャピタン・シアター」でこの2つの作品を鑑賞出来てラッキーだったなぁと思っています。すべて自己満足の極みなんですけれどもね。
以下は「エル・キャピタンシアター」の公式ホームページです。基本英語版ですが、日本語になるボタンがあるようですよ。クオリティーの高い素敵なホームページですよ!
https://elcapitantheatre.com/about-us/
つづく
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