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【英語/映画/旅行が好きな方向け】ロサンゼルス駐在生活体験記 037 銃社会アメリカ              

10.銃社会アメリカ (つづき)

一般のロサンゼルス市民は21歳以上で連邦当局の資格審査の許可が通れば銃を購入することができるようです。銃器を専門に扱う「Gun Store」ももちろんありますが、そういったお店でない町の大きめのスーパーマーケットの中にも拳銃を販売してるコーナーがあり、日本人の私としてはその売り場を見た時はとてもびっくりしました。 日本で言えばイトーヨーカ堂やイオンのような大手スーパーの中に銃売り場があるようなものですから。

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Master TuxによるPixabayからの画像

 買い物に行って母親が子供を抱きながらガラスケースの中に陳列されている銃を見ている光景は何とも異様なものに感じました。 いくら護身用とはいえ、いざという時の為に自ら「銃」を購入しなければならないロサンゼルス市民の苦悩には本当に根深いものがあると改めて思い知らされました。様々な都市で銃にまつわる事件が起こり多数の犠牲者が出てしまう度にこれはもうロサンゼルスだけに限らずアメリカ市民全体の問題なのだなぁは思うのであります。

1992年10月17日の夜、ルイジアナ州バトンルージュに留学中だった服部剛丈さん(当時16歳)がハロウィンの時期ということもあり変装してロドニー・ピアス氏の家に誤って侵入してしまい、侵入してきた彼にピアス氏が「止まれ!それ以上侵入しないで」という意味で言い放った「フリーズ(Freeze)」を「プリーズ(プリーズ)」と聞き間違えて、どんどん進んでいってしまったが為に撃たれてしまい命を落してしまったと言われている事件ですが、私がロスで暮らしていた頃からしばらくの間は、日本でもアメリカにおける「銃問題」を語る際にすぐ話題に上がってきていた事件なのですが、最近話題になることがなくなっているように思います。あれからもう28年も経っている訳ですから若い人達に「何ですか、その事件は?」と聞かれたとしても仕方がないのかもしれません。ピアス氏の家には6丁もの銃器があったというのですが護身用にそれほどの数の銃が必要だったのでしょうか?

 駐在していた間、私がよく行っていたガソリンスタンドのスタッフに気の合うメキシコ人中年男性がいたのですが、 彼は銃などは所有していなかったのですが、ある夜メルローズの裏道りを歩いていた時に二人組の黒人達に襲われそうになったのだそうです。その恐怖からやはり自衛しなければいけないと思い「銃」を買う事にしたのだそうです。ガソリンを入れに行った時、彼が「少し時間があるか?」と聞いてきたので「あるよ。」と答えると、自分の銃を見せるから「ちょっとこっちに来い」とガソリンスタンドの隅に停めてある彼の車まで私を連れていくのです。開けたトランクの中には袋にも入れておらず、裸のままの「黒いリボルバー」銃が置かれていました。彼はその銃を手に持つと「今度、あいつらに襲われたってコイツがあるから大丈夫さ。」とニコニコしながら言うのです。私は「本当にそうか?」と思ったのを覚えています。

「日本のようにどうして銃はなくならないのだろうか?」そんな疑問をずぅっと抱えることになった訳ですが、ある日の晩にアメリカ人の友人と一緒に夕飯を食べた時のことです。

「どうしてこれだけ銃による被害が続いてるのに、アメリカ政府は日本のように全面的に銃の所持を禁止しないのだろうか? そうすれば治安も良くなるのでは?」

と尋ねたところ、日本人ビジネスマンとの付き合いも多く、日本映画も多く見ている彼は面白いことを言いました。

「 ミスター高岡、日本だってその昔 、殺傷力のある刀という武器を腰にぶら下げて街を歩いていた時代があったじゃないか。今、アメリカで銃を所有することを全面的に禁止するという法律を作って一斉にやめろというのは、日本が刀を腰に差していた時代のサムライ達に『今後、一切、刀を持ち歩いてはならん!』と言うようなものだよ。もしそうなったら刀を作って生計を立てている刀職人たち全員が職を失うことになる訳だよ。そしたら路頭に迷うよね。だから職人たちは、お国の偉い方々に『禁止令』などは出さないようにとお願いするわけさ。それがアメリカでは『かたな・刀』じゃなくて『銃・GUN』な訳だよ。」

という答えが返ってきました 。

 確かに今の時代、日本人は家の中に殺傷力のある武器を保管することはないけれども、ひと昔、ふた昔前までは、刀や槍など保有して身を守っていた時代があったわけで、彼のこの例えはとても分かり易く、そしてずっしりと重いものでした。

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Open Clipart-VectorsによるPixabayからの画像

アメリカの銃規制の話になると必ずと言って出てくるのはアメリカライフル協会、通称 NRA(National Rifle  Association)です。重機製造業者等の団体ということで彼らはその豊富な資金力を使ってアメリカ政府の政治家達に影響を与えて銃規制の法案を通過させづらくしてるようだと聞こえてきます。

「犯罪の責任は銃にあるのではなくそれを持つ人間にある」というのがアメリカライフル協会側の基本的な考えです。こういった圧力団体の活動がなくならない限りアメリカでは銃所持が全面的に禁止される事などはありえないのでしょうか?しかし、2019年9月3日にはサンフランシスコの市議会がこの団体を「銃の所有者に暴力行為をそそのかしている」として正式に「国内テロ組織」に認定する決議案を可決したとのこと。今後、何か変化があるのかもしれません。

ロスで暮らしていた3年と4ヶ月の間、毎日毎日、後ろから誰かに襲われるんじゃないかといつもビクビクする自分がどこかにいました。一番気を使ったのは、帰宅時に車を自分の駐車場所に停めて降りる時でした。当時は今のようなリモートによる自動ロック方式ではなく、鍵をかぎ口に入れて回す方式でしたから、鍵をかけている間は背中が無防備になる訳で、その瞬間が一番怖かった。 

もしも私が侍の時代に生まれていて、背後から刀(KATANA)で切りつけられたとしたら、命を守るために自分も侍魂がある日本男子として刀を抜いて応戦することになるでしょう。う~ん、何んとも悩ましい!

ただ過去に起こった忌まわしい事件・出来事は、繰り返していけない訳で、先人が起こしてしまった事からしっかりと学ぶべきことは学んで、是非とも日本人は日本人なりにアメリカ生活には「日本にはない『銃保有という習慣』があるのだという事をしっかりと認識してから、留学なり、旅行に出かけていくようにするべきではないでしょうか?

2020年の夏現在、新型コロナウィルスの蔓延で自由に海外旅行には行けませんが、近い将来、コロナが怖い存在でなくなり、また自由にアメリカにも行けるようになった際、「銃のある国」アメリカへの渡航の仕方を「コロナ対策」同様に周知徹底させて頂けるように、外務省の皆さんには強くお願いをしたいとところです。

16歳で旅立ってしまった服部剛丈さんのご両親は、その後、「アメリカの生活から銃を無くす」という活動を続けていらっしゃるとお聞きします。その活動に敬意を表するとともに、是非、健康にもご留意頂きたいと切に願う次第です。

カリフォルニアだけでなく、全米中で頑張っている日本人、日系人の皆さん、銃規制の件もありますが、目の前の「コロナウィルス」との闘いにも、気持ちで負けないようにして共にサバイブし!そして、いつか「あんな時代もあったね」を笑って振り返れるようになるまで頑張っていきましょう!

つづく (※次回から新しい章になります!)